【家づくりの基礎知識】家の強さは『躯体』で決まる!住宅の躯体構造と工法について解説

はじめに

みなさんは「躯体」という言葉をご存知でしょうか。家づくりを始めると必ず耳にすることになるこの「躯体」という言葉、実は建てる家の「強さ」に大きく関係するものです。

これから家を建てる方には、躯体について、また躯体の組み立て方となる「工法」のことも知っていただき、丈夫で安心して暮らすことができる家を建てて欲しいと思います。

『躯体』ってどう読むのか?何を意味するのか?

まず躯体は『くたい』と読みます。家の建築に関する言葉としては当たり前に使われている用語です。躯体は『建物を支える構造の部材』を意味するものです。『構造躯体』と呼ばれる場合は、家の建築構造を支える「骨組み部分」を指します。

躯体にはどんなものが含まれる?

躯体は家の強度·頑丈さに大きく関係するものです。つまり、建てた家で生活する人たちの安全や、災害時に人命を守る役割を持つ重要な部分です。

では躯体には建物のどの部分が含まれるのでしょうか?躯体は建築物の構造部を指す言葉ですが、どのあたりが躯体になるのかがわからないという方も多いと思います。ここでは躯体に含まれるものを挙げていきたいと思います。

1:家の基礎

まず「基礎」が躯体に含まれます。基礎は家の建物部分の地表~地中に作るもので、家の建物の重さを支える非常に重要なものです。なんらかの原因で基礎が沈下したり傾いたりすると、上に建っている建物に問題がなくても住むことさえ難しくなることがあります。

基礎にも種類があり、まず大きく分けて「直接基礎」と「杭基礎」があります。さらに直接基礎は「独立基礎」「ベタ基礎」「布基礎」に分かれます。家を建てる土地の形状·面積や地質、基礎の上に立てる構造物などによって、施す基礎工事は変わってきます。

2:家の柱や梁

家の構造上、なくてはならない「柱」や「梁」などの部材も躯体に含まれます。柱は鉛直方向に、梁は水平方向にかかる部材です。柱や梁は組み合わさって建物の構造を形成するもので、様々な力によって家が壊れないように柱と梁が支える役割を担っています。

柱や梁は部屋の中から見えていることもありますが、一般的には天井や壁の板の裏側に隠れる形になることが多いです。

3:家の壁や床

家の「壁」や「床」などの部材もまた、躯体に含まれます。家の床や壁は荷重に抵抗し、耐える役割を担う部材です。ただし壁は仕上げの中に隠れているため、家の中で躯体になる壁と、躯体ではない壁の区別がつきにくいかもしれません。

地震が起きたときの地震力などを負担する壁は耐震壁と呼ばれ、それ以外の部屋などを仕切る壁は雑壁または間仕切壁と呼ばれています。雑壁と間仕切壁は躯体には含まれません。

躯体にはいくつかの種類があり、一般的な住宅の躯体は木造

躯体は建物の構造体に使用する材料によって分類されます。代表的なものが「木造」や「ブロック造」、「鉄骨造」、「鉄筋コンクリート造」、「鉄骨鉄筋コンクリート造」などが挙げられます。また、躯体を作る工事のことを「躯体工事」といいます。

一般的な住宅の躯体の多くは「木造」です。木造住宅の躯体はもちろん木材で構築されています。木造住宅は大きく分けると「木造軸組工法」と「2×4(ツーバイフォー)工法」の2つがあります。

木造軸組工法と2×4工法

木造軸組工法は日本の住宅建築において一番多く採用されている代表的な工法で、日本の建物建築の歴史とともに磨かれてきた工法です。縦の軸となる柱と、横の軸となる梁を組み合わせて建てることから「軸組」と呼ばれます。また「在来工法」や「伝統工法」とも呼ばれ、神社·仏閣などの建築でも採用されています。

対して2×4(ツーバイフォー)工法は北米から伝わった建築の工法で、2×4インチの木材で組んだ枠に壁を張ることから「木造枠組壁工法」とも呼ばれます。

木造軸組工法は点を結ぶように造る工法で、2×4工法(木造枠組壁工法)は家を面で組み立てて造る工法のように捉えると、イメージがしやすいかと思います。

今回は木造住宅において一般的な木造軸組構法について触れていきたいと思います。

木造軸組工法のメリットは?

木造軸組工法で家を建てるとどのようなメリットがあるのでしょうか?まずは木造軸組工法で家を建てるときのメリットからご紹介します。

メリット1:建築費用が安く抑えられる

まず一番のメリットは家の建築費用、コスト面です。材料が木材のため、鉄やコンクリートより材料費が安くなり、他の工法よりも木造住宅は建築費用を抑えることができます。例えば、同じサイズ、同じ間取りの住宅を建てる場合ですと、鉄骨住宅は木造住宅の1.5倍以上建築コストががかかるといわれています。

メリット2:間取りの自由度が高い

木造軸組工法は間取りの自由度が高く、木材の長さや柱の梁の組み合わせ方次第で、柔軟な家の設計を行うことができます。「あと10センチだけここを広くしたい」、「ドアをここに付けたい」、「ここにパントリーが欲しい」など、家を建てる方の要望に応じた間取りと空間づくりが可能です。

また、土地の形状に合わせて構造を組みやすいので、狭い土地や変形の土地に家を建てる場合でも、敷地を有効に活用した家づくりが行えます。さらに柱と梁で構造を支えているため壁を抜きやすく、大空間が広がる開放的な間取りや大きな窓を設置しやすい点もメリットとなります。

メリット3:リフォームや増改築を行いやすい

木造軸組工法の大きなメリットである間取りの自由度の高さは、将来的な間取りの変更や増改築が行いやすいことにつながります。例えば部屋数を増やしたり、二階部分を広げると行ったような場合であっても柔軟に対応しやすいのが魅力です。

木造軸組工法のデメリット

木造軸組工法には様々なメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットの部分もしっかり抑えておきましょう。

デメリット1:他の工法や躯体構造と比較して耐震性が低い

木造軸組工法は面で造る構造の2×4工法(木造枠組壁工法)や、鉄やコンクリートなど他の材料による躯体構造より耐震性の面で劣ります。これは工法の理論をもとに比較した場合であり、木造軸組工法であっても適切な耐震設計を行ったり、接合部材に金具を併用したりするなど色々な手法により、十分耐震性に優れた家を建てることが可能です。

私たちセイカホームでは、建物の重心や耐力壁の剛芯などを考慮して構造を設計し、また床に24mmの構造用合板を使用することで、地震や台風などによる水平方向の揺れやねじれなどに対する剛性をきちんと確保し、強固な家づくりを行っております。

デメリット2:シロアリによる被害(蟻害)の恐れがある

以前の木造住宅は、基礎になる地面一面をコンクリートで覆わない「布基礎」が一般的でした。布基礎は地面や床下から湿気が建物へ伝わりやすく、湿気を好むシロアリが侵入し、柱などの構造材を食い荒らす「蟻害」が発生しやすかったのですが、現在では、地面一面を厚いコンクリートで覆う「ベタ基礎」が主流となり、シロアリ被害は減少しています。

デメリット3:構造材としての耐久性の問題

木材は水分·湿気などに弱いため、鉄骨やコンクリート造の家と比較すると、風雨による劣化や、シロアリなどの害虫による被害も受けやすいといえます。しかし、何百年も前に建てられた木造建築の神社や仏閣などが現存していることからもわかると思いますが、木造建築であっても適切なメンテナンスを行うことで長期にわたって良好な状態を保つことができます。

デメリット4:耐火性が低くなる

これは木造軸組工法だけのデメリットとは言い難い部分がありますが、木造であること=日に弱い、すなわち耐火性が低くなる点です。ただし木造軸組工法の耐火性自体は、鉄筋コンクリート造以外と比べた場合、ほぼ同等といわれます。木材ですので火が付けば燃えますが、燃焼するのは基本的に表面の部分で、木材の中心部である赤太の部分などは割と燃えにくいため、木造でもある程度の耐火性はあります。

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